彼氏の鬱病、悩みぬいて結婚に至るまでの軌跡

うつ病
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鬱病だと知らずに付き合った

私は浮かれていた。

すっげぇかっこいい彼氏ができたのだ。

私たちは当時大学生で、お互い一目惚れしてほとんど話したことのないまま付き合い始めた。

私は絶賛人見知り人間なので、こんな出会ってまもない誰かと付き合うなんて…と自分にびっくりしていた。

お互い一目惚れなんてドラマの主人公っぽい!!とか思って友達にもめちゃくちゃ自慢したし、毎日毎秒彼氏のことを考えてはニヤニヤしていた。

彼氏はすごく優しくて私のことを大切に想ってくれていた。

うまく言えないけれど、一緒にいると彼氏のもつ純粋な優しさが伝わってきた。

彼氏に違和感を感じる

なんかすっごい単位落としてる。

え、すっごい落としてるぞ。

というかすでに1年留年してたんだ。

へぇ~なるほど知らなかった。

…また留年するのでは?と不安になり彼氏にそれとなく聞いてみる。

答えは「俺、8年かけて大学卒業するつもりだから。これから休学するから。」と。

んんんんんんんんんんんん!?8年!?!?ここ4年制の大学だけど!?私あなたより3つ年下だけど、私の方が早く卒業することになるな!?

…あれ?そういえば…一緒にいてもたまにボーっとしてる。

ふとした瞬間に泣いてる。

夜寝れてない(暗闇のなか横になってるのに朝まで起きてる。これはビビった)。

何日もシャワー浴びずに香水でごまかしてる。ご飯ぜんぜん食べない。よく遅刻する。メールもラインも返信遅い or 返信こない。

彼氏ができたことに浮かれて脳内がお花畑になっていた私は、ふと冷静になってきた。

あれれ、この人、大丈夫…?ダメ男に見えてきたんだけど…。

でもさ、でもさ、普段の言動とか雰囲気はすごい真面目そうにみえるんだけど…?

彼も私が戸惑っていることを察したのかもしれない。

ある日「俺、※躁うつ病なんだ」と言われた。

何と返事したかは記憶がない。

※躁うつ病はうつ病の1種で、落ち込んだり(うつ)活動的になりすぎたり(躁)を繰り返すタイプのうつ病。

ちなみに彼氏は躁状態のとき、友達が留守の間にアパートに忍び込んで生きた鯉を浴槽に放ったそうですよ……はんぱねぇ…

私氏、焦ってうつ病関連の本を読み漁る

当時の私のうつ病の知識といえば、「なんか元気が無くなる心の病気」ぐらいだったと思う。

図書館へ行き、うつ病関連の本を10冊以上借りて読んだ。

本を読んだあとの正直な感想は「将来に希望がもてない」だった。

この躁うつ病という病気と10年・20年以上闘っている人もざらにいた。

そして、うつ病では症状が落ち着いても「治癒」という言葉は使わず「寛解」という言葉を使う。

寛解とは、症状が落ち着いていて自分の生活をコントロールできる状態のことだ。

寛解まで達すれば様子観察等しながら再発予防を意識して暮らしていくことになる。

つまり症状があったとしてもある閾値に達していなければ「まあOK、治療成功!」となるってことだ、と私は解釈している(間違っていたらごめんなさい、というか多分良くない解釈してるから詳しくは調べてください)。

完全な「治癒」が難しい病気だから、うまく病気と付き合っていく「寛解」で満足しなければいけないのか…とどうしても私は考えてしまうのだ。

もちろん、適切な治療をすることで鬱病は治る、怖い病気ではないと話される先生もいる。

ただ現に、長年闘病生活を続けている人もいるのは事実だ。

本を読むことで鬱病について学び、現実と向き合うことができた。

辛い情報も多いけれど、やはり寛解を目指すためには正しい知識を身に付けておくことは大切だ。

鬱病の教科書と現実の壁

本には様々な知識が詰まっている。

先人たちがうつ病と闘って得た知恵を残してくれていて、関係者全員に対して本当に感謝しかない。

これらの知識が無ければ病状はもっと悪化していただろう。鬱病の教科書たち、本当にありがとう。

鬱病の教科書

鬱病に関する本によく書いてある教科書的知識の例をいくつか挙げる。

  • 服薬治療が基本
  • 生活リズムを整えて規則正しく暮らす
  • 朝日を浴びるために散歩すると良い
  • 周りは本人を責めず、あたたかく見守る

これを読んだ時は、なーんだ意外と治療法は単純なんだな、と思いました。

これから苦悩することになるとも知らずに…

 現実の壁

いやぁ~、鬱病の教科書で学んだ知識の実践、私たちのケースではめっっちゃ難しかったんです!!

まず彼氏は病院に行ってくれない。

体調が悪くなって間もないころには1人で精神科に通院していたらしいが、医者が話を聞いてくれずに薬ばかり増やすため信用できなくなり行かなくなった、と。

他の病院をすすめてみるも、「どうせ薬漬けにされるだけだから行かない」と。

夜寝れないから朝も起きれないし(睡眠薬も嫌がる)、自分も余裕が無い時には優しく見守るなんてできなくなる。

正しい治療法を実践しようとするあまり、彼氏に寄り添うことができなくなることもあった。

嫌がる彼氏を無理やり散歩に連れ出したところで、それは彼氏の負担になるのだ。

教科書的な正しさばかりに気を取られて衝突することで、私の存在が彼を追い詰めているように感じた。

彼氏の鬱病を軽くしてあげたくてたくさん勉強したのに、全然うまくいかない…。

ずっとこのままだったらどうしよう。

彼氏のことはすごく大好きだけど、結婚とか子どもとか、諦めた方がいいのかもしれない。

…今思うと私氏、かなり気が早い。笑

教科書通りできたら苦労しないわ、と開き直る

あるとき、彼氏の部屋の本棚がふと目に入った。

うつ病の本が置いてある…!

しかも複数冊。

付箋が貼ってあるページや蛍光ペンでマークされた箇所もある。

私は肝心なことを忘れていた。

うつ病を1番治したいと思っているのは彼自身なのだ。

苦しくて辛くて、でもなかなか抜け出せなくてもがいているのだ。

ぼーっとする頭で、元気だったころの数倍の時間をかけて、うつ病の本を読んだのだろう。

正しい知識ーー規則正しい生活をするべきだ、しっかりと栄養をとらないといけないなどなどーー知識としては彼自身も知っているのだ。

だけど、できない。

それなのに、横から私が「正しい治療法」をガミガミと強要していたのだ。

彼の「正しい行動をやりたくてもできない」という事実に気づいてからは、教科書的な正しさばかりにこだわることを止めた。

彼の話をよく聞くようにした。

自分なんかいない方が良い、消えたいと言われたこともあった。

そんな時は、私にはあなたが必要である、と何度も何度も説明した。

できないことは無理してやらなくてもいい、私はあなたと一緒にいるから、時間をかけてうつ病と闘おうと話した。

何ができなくてもいいから、その代わりにただ1つだけ「絶対に死なない」という約束をしてもらった。

なんでもいいから、生きていてくれと頼んだ。

彼は真面目だから、約束は必死に守ってくれた。

鬱病の彼氏・夫を長期的に支えるために

あくまでも私の個人的な意見だが、うつ病治療は長期戦を覚悟すべきだと思っている。

そしてその長い闘いのなかで、相手の本心を見失わないように意識すべきだと私は思う。

うつ病の症状にも様々あり、怒りっぽくなる人や睡眠過多になる人もいる。

周りの人は、以前と違う当事者の様子に戸惑うだろう。

腹がたつこともきっとある。

けれどその当事者も同じようにそれらの症状に苦しんでいるのだということを思い出して、一緒に病気と闘ってほしい。

そして当事者を支えながら、自分のことももっともっと大切にしてほしい。

私が考える、当事者の周囲の人にとって大切だと思うことを以下の3つにまとめてみた。

相手の本心を汲み取る努力

うつ病は甘くない。

1番辛いのは当事者だが、支える側の人間も時に苦しい思いをするだろう。

実際は違うのに、当事者が怠けているようにみえることもあるかもしれない。

少なくとも未熟な私には、そういう瞬間が何度かあった。(当事者の方、本当にごめんなさい。今なら違うって分かります。)

けれど当事者は1日1日を、あるいは毎秒毎秒を必死に生きのびているのだ。

いろいろなことができなくなっている自分に落胆することもあるだろう。

そんな毎日のなか、消えてしまいたい気持ちを何とか退けて努力している。

うつ病の症状で見えづらくなっているが、病気を治したい気持ちは確かにそこにある。

病気に惑わされて自分の感情が分からなくなっている当事者もいる。

周りにいる人は、できる限り当事者の気持ちを汲み取り、寄り添い、吐き出させてあげてほしい。

私は、心の自然治癒力を引き出してあげるつもりで話を聞いていました。

…まあ、自分に余裕があるときだけだったけどね!笑

一緒にいるための工夫

当事者のことが大切であればあるほど心配で辛いもんですよね。

そして辛くても、やっぱり大切だから一緒にいたい。

大切な人と一緒にいるために、当事者にも自分にも負担をかけない工夫をすべきだと思います。

具体的な例を3つ挙げてみました。

・LINEやメールが返ってこなくても気にしない。

→気分の波が落ち着いたら返ってくるので、気にせず待ってみましょう。

・一般的な価値観から離れてみる。

→結婚や就職だけが幸せじゃない。自分たちの幸せのかたちを探してみましょう。

・完璧主義から卒業する。

→風呂に入らない、仕事行けないぐらいじゃ死にません。

他にもたくさんの工夫が自分たちをラクにしてくれます。

自分たちをラクにしてあげられる心構えや環境をつくりましょう。

これについてはブログの記事でたくさん書きたいな。現代日本の皆さん、頑張りすぎよ。

自分のことも大切に

相手を支えるために、自分のことも入念にケアしましょう。

自分が相手のことを大切に想うように、むしろそれ以上に、自分のことも大切に想ってほしい!

自分には、自分の幸せを追求する権利がある。

献身的に相手を支えるのは美しいけれど、自分を犠牲にしてばかりではいつか辛くなってしまう。

そして自分を犠牲にしていると相手にも負担になってしまう。

相手を長期的に支えていくためにも、自分のことも大事にしましょう。

相手のことが大切だからこそ、自分のことも大切にする必要があるのです。

疲れたら休む、趣味に没頭してみる、仕事を頑張るなどなど…自分が喜ぶことをしてあげましょう。

私は、疲れたなァと思ったときには自分へのご褒美によくLチキを食べてました。Lチキうまいよ!

まとめ

彼氏の鬱病を知って戸惑うことも多かったけれど、私は彼氏と一緒にいることを選びました。

基礎知識を身に付けて、一緒にいられるように試行錯誤を続けて、6年ぐらい付き合って結婚しました。

結婚して2年が経った今、旦那はパート職員として働けるぐらい回復しています。

私は旦那のことが大好きです。

たしかに辛いことも多いけれど、好きな人と一緒に生きることに決めました。

周りに反対する人もいたけど、でも好きだったら一緒にいたいじゃないですか。

うつ病のことで苦労することがあっても、旦那と一緒にいられる幸せの方が勝つんですよね。

うつ病は甘くない。

でも大切な人と暮らす毎日は愛おしい。

私たちのケースが、誰かの希望になったら嬉しいです。

コメント

  1. とも より:

    素敵です
    私もうつの彼をあなたのように支えたいです
    泣いちゃいました

    • megumi megumi より:

      コメントありがとうございます。
      ブログの引っ越し等で返信がとても遅くなってしまいました。
      ともさんと彼氏さんの幸せを願っています!

  2. まりも より:

    ネットで検索してこのサイトに辿り着きました。
    似たような境遇だったので、とても励まされました。
    確実に誰かの希望になる、素敵なエピソードです。
    私はうつ病の彼と同棲しているので、家族に実家に早く帰ってこいと言われていますが、
    「自分が本当はどうしたいのか」ということを突き詰めて考えて、選択していきたいと思いました。

    このサイトにたどり着けてよかったです。ありがとうございます😊

    • megumi megumi より:

      コメントありがとうございます。
      うつ病に関する情報はネガティブなものが多く、誰かの希望になるようなサイトを作りたいなーという気持ちがあったのでとても嬉しいです!
      どんな選択をしても自分で決めたものなら正解だと思います。
      陰ながら応援しています(*^^*)

      • Namo より:

        今日恋人がうつ病だと分かりしこたま大泣きした後、こちらの記事を見つけました。
        悲しみのどん底に光が差し込んだかのようでした。
        無知だった自分を恥じました。
        こちらのブログに出会えたことに感謝します。

        「うつ病は甘くない。
        でも大切な人と暮らす毎日は愛おしい。」

        希望をもらいました。これからうつ病のことをしっかり勉強します。

        • megumi megumi より:

          コメントありがとうございます。
          希望をもらったというお言葉、とても嬉しいです。
          Namoさんも穏やかに愛おしい毎日を送れますよう応援しています!

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